どうも、佐々木です。株式会社リミブレイクっていう、札幌の小さなIT企業で社長やってます。優って名前だけど、仕事中は全然優しくないって社員によく言われます(笑)。今日は、この春から社会人になったあなたに向けて、まあ、31歳の先輩として、ちょっと暑苦しい話をしようかなと思って。
というのも、うちの会社、主に中小企業向けの業務システム開発(SaaSってやつね)と、あとはセキュリティのコンサルが飯のタネなんだけど、新しく入ってきた子たちを見てると、みんなすごく真面目で、優秀で、でもなんだか「正解」を探しすぎてる気がして。
IT業界の未来なんて、私にも分かりません。分かるフリをしてる大人がいたら、そいつは詐欺師か、よっぽど鈍感な人よ。だから、これは未来予測じゃない。私が日々、現場で泥にまみれながら感じてること、イラついてること、そして、それでもワクワクが止まらない理由。そういうドロドロした話を、ちょっとだけ聞いていって。
まず、いきなりで悪いけど、一番怖い話からするわね。
あなたが、明日、会社の売上を数千万円吹き飛ばす原因になるかもしれない、っていう話。
脅しじゃないのよ。うちのクライアントで、本当にあった話。
新入社員の子が、何気なくクリックした一通のメール。巧妙に偽装された、取引先からの請求書メールだった。その瞬間、会社のサーバーは全部ランサムウェアに人質に取られて、業務は完全ストップ。幸い、うちの会社がバックアップから復旧させたけど、それでも一週間はまともに仕事にならなかった。損失、数千万円。電話口で謝り続ける社長の声、今も覚えてる。クリックした新人の子は、もう顔面蒼白で、見ていられなかった。
誰も、彼女を責めなかったわ。だって、今の攻撃は、プロでも見抜くのが難しいもの。
でもね、これだけは覚えておいて。セキュリティって、技術やシステムの話じゃない。究極的には、「人間」の話なの。私たちの、ほんの少しの油断や、「自分だけは大丈夫」っていう根拠のない自信を、攻撃者は常に狙ってる。
なんでこんな話から始めたかっていうと、多くの会社が、いまだにセキュリティを「IT部門の仕事」だと思ってるから。正直、経営者として言わせてもらうと、それはただの怠慢。全社員が当事者意識を持たない限り、会社なんて、砂上の楼閣みたいなものよ。
じゃあ、なんで会社の中身は、そんなに脆いの?
それが、日本中を蝕む「2025年の崖」っていう問題に繋がってくるのよね。
うちのクライアントの多くが、まさにこの崖っぷちに立たされてる。
平たく言うと、何十年も前に作られた、継ぎ接ぎだらけの古いシステム(レガシーシステム)を、いまだに使ってるってこと。
私はこれを「実家の物置」って呼んでる。昔は使ってた健康器具とか、大量のカセットテープとか、もう何が入ってるか誰も分からない。でも、下手に触ると全部崩れてきそうで、誰も手を出せない。おまけに、どこに何を置いたか知ってるおじいちゃん(ベテラン技術者)は、もう引退しちゃった。
笑い話みたいでしょ?でも、これが日本の会社のリアル。
私の実家なんて、いまだにFAXが現役よ。「優ちゃん、これ送っといたから」って電話がかかってくるたびに、「メールで送ってよ!」って何度言ったことか…。でも、父にしてみれば、それが一番慣れてて、確実な方法なの。会社も同じ。長年続いたやり方を変えるのは、ものすごくエネルギーがいるし、怖いことなのよ。
「DXを進めましょう!」って言葉だけが踊ってるけど、その本質は、この「実家の物置」を、家族全員で覚悟を決めて、一日がかりで片付ける作業のこと。汗だくになるし、ホコリまみれになるし、「これまだ使う!」「いや捨てろ!」って親子喧DLCになったりもする。そういう、ドロドロした人間臭いプロセスそのものが、DXなのよ。
で、この物置の片付けに、最近「AI」っていう名の、超優秀だけど融通の利かない助っ人が現れたわけ。
AIね…。正直、私もまだ、コイツとの付き合い方に悩んでる。
「AIは最高の相棒!」なんて綺麗な言葉を言うつもりはないわ。むしろ、「なんで分かんねーんだよ!自分でやった方が早いわ!」って、AIのチャット画面にキレそうになる時なんて、今でもしょっちゅうよ(笑)。
AIって、指示が具体的じゃないと、本当にポンコツなの。でも、逆に言えば、私たちが「何を」「どうして」「どうしたいのか」を、これ以上なく明確に言語化することを、AIは要求してくる。これって、実は、これからの時代の、一番重要なマネジメント能力なのかもしれないって、最近思うようになった。曖昧な指示で部下を混乱させてる、そんじょそこらのオッサン上司より、よっぽど教育的よ。
ただね、AIが進化しすぎて、時々、本気で怖くなる夜もある。
人間の知能を超える「超知能」を、MetaとかOpenAIとかが本気で開発競争してるでしょう?あれを見てると、私たちの仕事がどうなるとか、そういうレベルじゃなくて、人類そのものが、この先どうなっちゃうんだろうって…。まあ、私みたいなちっぽけな会社の社長が心配することじゃないのかもしれないけど。でも、あなたも、このとんでもない変化の、目撃者の一人なのよ。
で、こういうゴチャゴチャした現場を、劇的に変えてくれたものが一つだけある。
それがクラウド。
これだけは、手放しで「魔法」だって言える。私が起業した頃は、高いサーバーを買って、事務所の隅に置いて…って、本当にお金も場所もなかった。でも今は、アイデアさえあれば、AWSやGoogleのインフラを借りて、誰でも世界と戦える。私みたいな、何のコネも実績もなかった人間が、社長をやってられるのは、間違いなくクラウドのおかげ。本当に、いい時代になったわよね。
…と、ここまでが、私の仕事に直結する、リアルな話。
ここからは、ちょっと専門外。だから、話半分に聞いて。
半導体とか、**Beyond 5G(6G)**とか、量子コンピュータとか。
正直、量子コンピュータの仕組みなんて、説明しろって言われても無理(笑)。でも、今のスパコンが一生かかっても解けない計算を、一瞬で解いちゃう可能性があるってだけで、もうワクワクしない?何が起きるか分からないけど、何かが起きる。それだけは確か。
半導体は、もう、これがなきゃ全部ただのガラクタだってことだけは分かる。パソコンもスマホも、うちが作ってるシステムも、全部。だから、北海道でラピダスが頑張ってるのを見ると、道民として、単純に応援したくなる。昔は日本が世界一だったんだから。もう一度、あの景色を見てみたいじゃない。
6Gに至っては、もう異次元すぎて、想像も追いつかないわ。でも、遠くにいる人と、本当に目の前にいるみたいに話せたり、災害が起きる前に対策が取れたりする未来が来るなら、大歓迎よ。
あ、あとWeb3ね。
うーん…。これは、正直、まだちょっと距離を置いて見てる。技術自体は面白いと思うの。ブロックチェーンの、誰か一人が支配しない「非中央集権」っていう思想は、すごく美しい。でも、今のところ、聞こえてくるのが「NFTで儲けた」とか、そういう話ばかりでしょ?人の欲望と技術が、まだ健全に結びついてない感じがして、ちょっとだけ、白けちゃう自分がいるの。まあ、これも、私が古い人間なだけかもしれないけどね。
…ごめんなさい。話がとっ散らかっちゃったわね。
でも、これが私の、偽らざる「現在地」。
何が言いたいかっていうとね、理屈なんて、どうでもいいのよ。
一番大事なのは、現場の「熱」を感じること。
どれだけニュースを読んでも、本で勉強しても、伝わらないものが、そこにはある。
だから、あなたに最後にお願いしたいのは、一つだけ。
「イベントに行け!冷やかしでいいから、とにかく行け!」
この夏から秋にかけても、面白そうなイベントが山ほどある。
【2025年8月~9月開催の注目ITイベント】
🗓️2025年 夏の注目イベント
8
AUGBlack Hat USA 2025
📍ラスベガス
世界中のヤバい奴らが集まるお祭り。いつかは行ってみたいわよね。
Google Cloud Next Tokyo ’25
📍東京
とりあえず行っとけ、的なやつ。業界の今の空気が分かる。無料のノベルティグッズも結構いいのがもらえる(笑)。
バックオフィスDXPO 東京’25【夏】
📍東京
超地味。でも、会社の「面倒くさい」が全部ここに詰まってる。リアルな課題の宝庫よ。
9
SEP第4回 オートモーティブ ワールド【秋】
📍幕張
車好きじゃなくても行く価値あり。未来の移動って、こうなるんだって実感できる。
東京ゲームショウ2025
📍幕張
日本が世界に誇れる数少ないエンタメの最前線。クリエイターたちの熱量に、ただただ圧倒されるはず。
全部行く必要なんてない。ピンと来たやつに、ふらっと行ってみて。
そこで、自分の技術について、目をキラキラさせながら語るエンジニアを捕まえて、話を聞いてみなさい。「すごいですね!」って一言でいい。きっと、嬉しそうに全部話してくれるから。
長々と、本当にごめんね。
最後に。
完璧な社会人になんて、ならなくていい。なれるわけないんだから。
たくさん悩んで、理不尽に腹を立てて、時にはサボって、そして、たまに本気出す。それでいいのよ。
失敗したら、ごめんなさいって頭を下げて、次どうするかを考えればいい。
私も、社長なんて肩書きだけど、いまだに分からないことだらけの、未完成な人間です。
だから、一緒に、悩みながら、もがきながら、この面白い世界を、面白がっていきましょうよ。
あなたの未来が、最高にエキサイティングなものになることを、心から祈ってます。
じゃあ、またどこかで。
2025年7月27日
株式会社リミブレイク
佐々木 優