【2025年のデジタル社会】新社会人が“本当に知っておくべき”IT現場の最前線とは?

こんにちは、佐々木優です。私がIT企業を起業してから8年が経ちました。この間、日本のデジタル社会は目まぐるしく変化し、特に2025年に入ってからその変化は加速度を増している、というのが現場にいる私の実感です。

今日は、これから社会に出る皆さんに向けて、今のデジタル社会で実際に何が起きているのか、そしてこれからどう変わっていくのかをお話ししたいと思います。統計や白書に書かれていることももちろん大切ですが、それ以上に現場で感じている生の情報をお伝えできればと思っています。

AIの進化が想像以上に早い理由

私たちが目の当たりにしているAIの変化

正直に言うと、AIの進化スピードには私自身も驚いています。2022年にChatGPTが話題になった時、「これは面白いツールだな」程度に思っていたんです。でも2025年の今、状況は全く違います。

先日、Googleの「NotebookLM」を実際に使ってみたのですが、これには本当に驚かされました。2025年6月4日にノートブックをパブリックリンクとして誰とでも共有できる新機能が提供開始され、そして7月14日にはThe EconomistやThe Atlanticといった有名メディアと連携した「Featured Notebooks(おすすめのノートブック)」という厳選されたノートブック集が公開されるようになりました。この機能によって、信頼性の高い専門的な情報にAIを通じてアクセスできるようになったんです。

私の会社でも、昨年から生成AIの活用を本格的に始めています。最初は「効率化のツール」として考えていたのですが、今では業務の進め方そのものが変わってきています。単純な作業の自動化だけでなく、アイデア出しや企画書の初期案作成、さらには顧客とのコミュニケーションまで、AIが支援してくれる範囲がどんどん広がっているんです。

大手企業の取り組みから見えること

LINEヤフーが2025年7月14日に全従業員約11,000人を対象に業務における生成AI活用の義務化を前提とした新しい働き方を開始すると発表し、3年間で業務生産性を2倍にするという目標を掲げたニュースを見た時、「ついにここまで来たか」と思いました。私たちのような中小企業でも、もう「AIを使うか使わないか」ではなく、「どう使いこなすか」の段階に入っているということです。

LINEヤフーの取り組みで特に注目したのは、従業員の業務の3割を占める「調査・検索」「資料作成」「会議」という共通領域から着手している点です。これって、どの会社でも共通する課題なんですよね。「まずはAIに聞く」を基本原則として、ゼロベースの資料作成を禁止し、必ずAIでアウトラインを作成してから始めるルールを設けているそうです。

特に興味深いのは、大規模なLLM(大規模言語モデル)だけでなく、Microsoftの「Phi」シリーズのような小規模なモデルも注目を集めていることです。140億パラメータの「Phi-4」は、複雑な推論に対応しながらも軽量で高速処理が可能。これって、私たちのような企業にとってはすごく実用的なんです。

なぜかというと、巨大なモデルを使うにはコストがかかりすぎるし、社内の機密情報を外部のサービスに送るのは不安だからです。でも小規模なモデルなら、社内のサーバーで動かせるし、コストも抑えられる。実際、私たちもローカル環境で動く小規模モデルの導入を検討しているところです。

NTTグループの技術開発が示すもの

NTTグループがLLMの追加学習なしで決められた長さ以上のテキストを生成できる技術を開発したというニュースも、現場目線では非常に重要です。学習コストの削減って、私たちのような企業にとっては死活問題なんです。

私が起業した当時、最新技術を使おうと思ったら、とにかくお金がかかりました。でも今は、効率的な技術開発によってコストが下がり、中小企業でも最先端の技術を活用できるようになってきています。これは本当にありがたいことです。

Web3とコンテンツ産業の新しい波

Web3の分野では、従来のように大企業が巨額の資金を投じてコンテンツを作る時代から、個人クリエイターが小さく始めて大きく育てる時代に変わってきています。

私の知り合いにも、NFTアートで収益を上げているクリエイターがいます。彼らの話を聞いていると、技術的なハードルが下がったことで、アイデアさえあれば誰でもチャレンジできる環境が整ってきていることを実感します。

特にYahoo!きっずの「AIでゲームつくりエイター」サービスは、子どもたちにとって素晴らしい学習機会だと思います。2025年7月11日にサービス開始されたこの取り組みでは、生成AIを活用した5種類のゲームを通して、プロンプトの書き方や設計方法を楽しく学べます。私が子どもの頃は、プログラミングといえば専門的で難しいものでした。でも今の子どもたちは、AIを使いながら自然にゲーム制作を学べる。これは本当にうらやましいです。

量子コンピューターの実用化が目前に

富士通と理研の成果が意味すること

富士通と理化学研究所が2025年4月22日に256量子ビットの超伝導量子コンピューターを開発したニュースは、IT業界にいる私たちにとって本当にエキサイティングな出来事でした。量子ビットの集積化、極低温状態を保つ熱設計、高密度実装…これらの技術的課題を日本の研究機関が克服したということは、我が国の技術力の高さを示していると思います。

私は大学時代に量子力学を少し勉強しましたが、正直言ってとても難しくて「こんなものが実用化されるのはずっと先の話だろう」と思っていました。でも2025年になって、HPCとの融合による実用化が現実味を帯びてきています。

この256量子ビットマシンは、外部ユーザーに提供されている超伝導量子コンピューターとしては世界最大級で、2025年度第一四半期中に企業や研究機関に向けて提供が開始される予定です。3次元接続構造により、64量子ビット機から容易に大規模化できることも実証されました。

セキュリティへの影響と対策

ただし、量子コンピューターの実用化は、サイバーセキュリティの観点では大きな課題でもあります。現在の暗号技術が危殆化する可能性があるからです。総務省が量子暗号通信技術の研究開発を2025年度から本格的に推進しているのも、この危機感の表れだと思います。

私たちのような企業も、将来的には量子暗号に対応したセキュリティシステムへの移行を考えなければならないでしょう。技術的な詳細はまだ完全に理解できていませんが、盗聴を確実に検知できる量子の物理的特性を活用した技術というのは、本当に革新的だと思います。

サイバーセキュリティの現実的な脅威

現場で感じる脅威の変化

サイバー攻撃について話すと、「自分の会社は大丈夫」と思われる方もいるかもしれません。でも実際には、規模に関係なくどの企業も標的になり得るのが現実です。

私の会社でも、昨年だけで複数回、怪しいメールや不審なアクセスを確認しました。幸い大きな被害はありませんでしたが、常に緊張感を持って対策を講じています。情報通信研究機構(NICT)の観測では、IoT機器を狙った攻撃が全体の約3割を占めているという報告もあります。

特に気になるのは、2025年の大阪・関西万博前後にサイバー攻撃が増加する可能性が指摘されていることです。関西の中小企業が狙われる懸念もあり、私たちも他人事ではありません。

法整備の進展と実務への影響

2025年5月16日に「能動的サイバー防御法案」が参院本会議で可決・成立し、同年5月23日に公布されたことは、企業経営者として非常に心強く感じています。国や重要インフラの安全確保に向けた政府の本気度が伝わってきます。

この法律により、国による通信監視や官民の情報共有で攻撃の予兆をつかみ、警察と自衛隊が無害化する措置を取れる体制が構築されます。基幹インフラ事業者には報告義務も課せられることになりました。

ただし、法律ができたからといって、企業側の責任が軽くなるわけではありません。むしろ、これまで以上にセキュリティ対策への取り組みが求められるようになると考えています。

IPAのサポートを活用した実体験

情報処理推進機構(IPA)の「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、私たちのような中小企業にとって本当にありがたい存在です。ワンパッケージで安価にセキュリティ対策を提供してくれるので、限られた予算の中でも適切な対策を講じることができます。

実際に相談窓口を利用したこともありますが、専門的なアドバイスを分かりやすく説明してもらえました。Oracle JavaやMicrosoft製品の脆弱性情報も定期的に更新されているので、常にチェックするようにしています。

セキュリティ人材不足の深刻さ

これは本当に深刻な問題です。私の会社でも、セキュリティに詳しいエンジニアを採用しようとしていますが、なかなか見つからないのが現実です。技術の進歩に比べて、それを理解し適切に運用できる人材の育成が追いついていません。

総務省がNICT(情報通信研究機構)を通じて「CYDER」(実践的サイバー防御演習)や「SecHack365」といった育成プログラムを推進していることは素晴らしいと思います。でも、それでもまだ圧倒的に人材が不足している状況です。

新社会人の皆さんには、ぜひセキュリティ分野にも興味を持ってもらいたいです。技術的に挑戦的で、社会的意義も高く、需要も非常に大きい分野です。

デジタル化による社会課題解決の可能性

行政サービスの変化を実感

マイナンバーカードの普及率が2025年2月末時点で78.0%(約9,700万枚)に達したというニュースを見た時、「ようやくここまで来たか」という感慨がありました。私自身、確定申告でe-Taxを使っていますが、紙の書類で手続きしていた頃と比べると、本当に楽になりました。

法人税申告の86.2%、所得税申告の69.3%がe-Taxを利用しているという数字も、デジタル化の浸透を示していると思います。ただし、まだ完全にペーパーレスになったわけではなく、一部の手続きでは依然として紙の書類が必要な場合もあります。

地方でのデジタル活用事例

北海道帯広市のスマート農業の実証事業には、大きな可能性を感じています。2024年度に「帯広市川西農業協同組合(JA帯広かわにし)」が中心となって総務省「令和6年度地域デジタル基盤活用推進事業」の実証事業を活用し、ドローンとAIを組み合わせて作物を管理したり、複数の無人トラクターを同時に動かしたりする実証試験が行われました。人手不足が深刻な農業分野でのデジタル活用は、まさに課題解決の好例だと思います。

私の実家も地方にあるのですが、高齢化が進んで農業の担い手が減っているのを目の当たりにしています。こうした技術が普及すれば、少ない人数でも効率的に農業を続けられるようになるかもしれません。

京都府京丹波町の「京丹波GREEN Pay」のようなデジタル地域通貨も興味深い取り組みです。地域経済の活性化にデジタル技術を活用するという発想は、多くの地方自治体が参考にできると思います。

防災・減災への応用

2024年1月の能登半島地震での教訓を受けた放送ネットワークの強靱化支援は、非常に重要な取り組みだと感じています。災害時にテレビ放送が重要な情報源になることは、私自身も東日本大震災の時に痛感しました。

携帯電話基地局の停電対策強化、移動基地局、無人航空機、低軌道衛星等の活用拡充など、通信ネットワークの強靱化も進んでいます。私たちのようなIT企業も、BCP(事業継続計画)の一環として、これらの動向をしっかりと把握しておく必要があります。

働き方の変化:リモートワークの現実

エンジニアのリモートワーク実態

これは私自身の経験からも言えることですが、エンジニアの働き方に関する調査結果は、現場の実感とよく合っています。「ハイブリッド型勤務」が半数以上、「フルリモート勤務」が約3割という数字は、私の周りのエンジニアの状況ともほぼ一致しています。

私の会社でも、コロナ禍をきっかけにリモートワークを導入しましたが、今ではそれが当たり前になっています。フルリモート勤務の満足度が9割以上という調査結果も納得できます。実際、リモートワークによって通勤時間がなくなり、集中して作業できる環境を整えやすくなったというメンバーが多いです。

出社義務化への抵抗感

フルリモートから出社義務化を経験したエンジニアの約7割が受け身の姿勢を示し、約2割は仕事を続けられないと感じるという調査結果には、正直驚きました。でも、実際に私の知り合いのエンジニアからも似たような話を聞くことがあります。

出社に抵抗を感じる理由として「通勤が負担になる(46.7%)」「リモート勤務の方が生産性が高い/集中できる(45.0%)」「ワークライフバランスが悪化する(35.2%)」が挙げられていますが、これらは本当にその通りだと思います。

私自身、創業当初は「みんなで同じオフィスにいることで一体感が生まれる」と考えていました。でも実際にリモートワークを経験してみると、必ずしもそうではないことが分かりました。大切なのは、働く場所ではなく、いかに効率的に成果を出すかということです。

柔軟な勤務形態の重要性

エンジニアが出社を受け入れられる条件として「出社日が柔軟に選べる(ハイブリッド型勤務)」が49.3%で最も多いという結果は、現場の感覚とも合っています。私の会社でも、完全にリモートにするのではなく、必要に応じて出社できるハイブリッド型を採用しています。

「出社は短期・一時的」(39.5%)、「勤務時間の自由度(フレックスタイム制や短時間勤務など)」(36.7%)という条件も理解できます。プロジェクトの状況やチームの連携が必要な時だけ出社して、普段は各自が最も生産性の高い環境で働く。これが理想的な働き方だと思います。

産業・市場の変化と課題

クラウドサービス市場の拡大

世界のパブリッククラウドサービスの売上高が2024年に7,733億ドルに増加したという数字を見ると、この市場の巨大さと成長力を改めて実感します。Amazon、Microsoft、Googleが大きなシェアを占めているのは、私たちのような企業でも実感するところです。

私の会社でも、これらのクラウドサービスを活用していますが、その便利さと同時に、海外事業者への依存という課題も感じています。データの保存場所や管理方法について、経営判断として慎重に検討する必要があります。

国内市場の課題と可能性

国内のAIOps/運用自動化市場が2024年度に20%弱の成長を見込んでいるという予測は、運用効率化への需要の高まりを示していると思います。私たちのような中小企業でも、人手不足を補うために自動化への投資を検討しています。

ただし、日本のデジタル分野の国際競争力が低いという課題は深刻です。デジタル関連サービスの国際収支の赤字拡大は、国全体として取り組むべき問題だと感じています。

ITreviewによる製品評価の重要性

「ITreview Grid Award 2025 Summer」で約1,230製品・サービスが評価されたというニュースは、IT選定の参考になります。私たちが新しいツールやサービスを導入する際も、実際のユーザーレビューを重視しています。

特にB2B向けのIT製品は、実際に使ってみないと分からない部分が多いです。ユーザーのリアルな声が集約されているプラットフォームは、本当に価値があると思います。

NTTグループの多岐にわたる取り組み

NTTグループの取り組みを見ていると、単なる通信事業者を超えて、社会課題解決に幅広く貢献していることが分かります。

新潟大学との遠隔触診技術の共同研究は、医師不足・偏在という地域課題の解決に直結する取り組みです。私の実家がある地方でも、専門医不足は深刻な問題になっています。こうした技術が実用化されれば、多くの人が助かると思います。

鋼材を使用したインフラ施設の画像から腐食の進行を予測する技術も、保全コスト削減に大きく貢献するでしょう。日本のインフラの老朽化は深刻な問題ですから、AIを活用した効率的な保守管理は必要不可欠です。

生物多様性ビッグデータを運営する株式会社バイオームへの出資や、衛星画像データによる植生および生物の広域推定技術の開発など、環境分野への取り組みも印象的です。企業活動と環境保護の両立は、これからの時代に不可欠な視点だと思います。

2025年大阪・関西万博への期待

NTTパビリオンの取り組みや、「つながるっ展」のようなイベントを見ていると、万博への期待が高まります。私も実際に万博会場を訪れる予定ですが、最新のデジタル技術が一堂に会する貴重な機会だと思っています。

万博は単なるイベントではなく、日本の技術力を世界に示すチャンスでもあります。特にデジタル分野での競争力向上のきっかけになればと期待しています。

新社会人へのメッセージ

これまで長々とお話ししてきましたが、新社会人の皆さんに伝えたいことは、「変化を恐れずに、積極的に新しい技術に触れてほしい」ということです。

私が社会人になった頃と比べて、今は本当に多くの可能性が開かれています。AIや量子コンピューター、Web3など、SF映画の中でしか見たことがなかった技術が現実のものになっています。

一方で、サイバーセキュリティのような課題も深刻化しています。でも、これらの課題があるからこそ、皆さんのような若い世代の力が必要なんです。

具体的なアドバイス

  1. 継続的な学習を心がけてください
    技術の進歩は早く、大学で学んだことがすぐに古くなってしまうこともあります。でも、基礎的な考え方や問題解決のアプローチは変わりません。常に新しいことを学ぶ姿勢を持ち続けてください。
  2. 失敗を恐れないでください
    私も起業してから多くの失敗をしました。でも、その失敗があったからこそ、今の会社があります。特にIT分野では、失敗から学べることがたくさんあります。
  3. 人とのつながりを大切にしてください
    リモートワークが普及して、直接会う機会は減りましたが、人とのつながりの重要性は変わりません。同僚や先輩、業界の人たちとの関係を大切にしてください。
  4. 社会課題に関心を持ってください
    デジタル技術は手段であって、目的ではありません。その技術を使って何を解決したいのか、社会にどう貢献したいのかを考えてみてください。

おわりに

2025年のデジタル社会は、まさに激動の時代です。AI、量子コンピューター、Web3といった技術革新がある一方で、サイバーセキュリティや人材不足といった課題もあります。

でも、こうした変化の時代だからこそ、新しいアイデアや若い力が求められています。皆さんには、既成概念にとらわれることなく、自由な発想でこの変化に立ち向かってほしいと思います。

私自身、まだまだ学ぶことがたくさんありますが、これからも現場の視点を大切にしながら、日本のデジタル社会の発展に貢献していきたいと考えています。

新社会人の皆さんの活躍を心から応援しています。一緒にこの変化の波を乗り越えて、より良いデジタル社会を築いていきましょう。


佐々木 優

参考資料・出典

主要な出典元

技術・法制度関連

サービス・製品情報

農業・地方創生関連

セキュリティ・法制度関連

政府・行政関連

本記事は現在入手可能な公開情報に基づいて作成されており、各種データや事実については上記の信頼できる情報源から引用しています。技術の進歩は日々続いているため、最新の情報については各公式サイトをご確認ください。

札幌の7月16日が教えてくれること―ラベンダーの終わりと、雨の日の街の表情

雨が降る水曜日の札幌で、私は何かが終わろうとしていることを感じていた。さっぽろ羊ヶ丘展望台のラベンダー刈り取り体験が、2025年7月16日をもって終了する。たった13日間の短いイベントだったが、この街の人々にとって特別な意味を持っていたことを、私は現地で目の当たりにした。

この記事を読んでわかること

札幌市民の日常に根ざしたイベントの実態

雨天時における地域コミュニティの対応力

観光地化が進む中での「本当の札幌らしさ」とは何か

札幌市の子育て支援制度の現状と課題

羊ヶ丘で見た「終わり」の風景

7月上旬、私は羊ヶ丘展望台を訪れた。1,200平方メートルの畑に1,000株のラベンダーが咲いている光景は確かに美しかったが、正直に言うと「これが札幌の夏の名物?」と疑問に思った。富良野のラベンダー畑を知っている人なら、規模の違いは歴然だ。

しかし、ハサミを手に取って実際にラベンダーを刈り取ってみると、その理由が分かった。ここは観光地としての「見せ物」ではない。札幌市民の夏の思い出を作る場所なのだ。隣で作業していた60代の女性は「毎年来てるの。家に持って帰って、孫と一緒にポプリ作るのが楽しみで」と話してくれた。

札幌市民なら免許証を見せるだけで大人500円、子ども無料で入場できる。この制度、実は札幌市内の他の施設でも見られる特徴で、市民に対する配慮の現れだと私は考えている。観光都市として発展する一方で、地元住民を大切にする姿勢がまだ残っているのだ。

雨の日の札幌が見せる「もう一つの顔」

7月16日の天気予報を見て、私は正直がっかりした。午前中の降水確率は60~70%。せっかくのラベンダー最終日が雨になるなんて。でも、取材を進めるうちに、札幌の「雨の日の過ごし方」の豊富さに驚かされることになった。

チ・カ・ホ(札幌駅前通地下広場)では、相続・終活サポートフェアが開催されている。一見地味なイベントだが、高齢化が進む札幌にとって切実な問題だ。実際、北海道の高齢化率は32.2%(2020年国勢調査)で、全国平均の28.9%を大きく上回っている。こうしたイベントは決して「ついで」ではなく、市民にとって必要なサービスなのだ。

札幌市民交流プラザでの「人間関係で分かり合えない苦しみ」をテーマにしたセミナーも興味深い。参加費1,000円という手頃な価格設定からも、多くの人に門戸を開こうという意図が感じられる。コロナ禍以降、人間関係に悩む人が増えているという話もよく聞く。こういう場所があることを、もっと多くの人に知ってもらいたい。

札幌の子育て支援を掘り下げてみた

取材中に偶然知ったのが「札幌市ファミリー・サポート・センター事業」だ。これ、正直すごいシステムだと思う。

利用時間帯料金(30分あたり・一人目)
月~金 7:00~19:00350円
土日祝・年末年始・上記時間外400円

※二人目以降は割引あり

30分350円で子どもを預けられるって、都市部の民間サービスと比べると破格だ。東京なら同じようなサービスで1時間2,000円以上することもザラにある。

ただし、利用するには事前登録が必要で、説明会は月2回(第2・4土曜日)のみ。働く親にとって土曜日の説明会参加はハードルが高いのではないかと感じた。制度は良いが、利用しやすさに課題があるように思える。

私が注目したのは「親のリフレッシュ」も利用理由として認められている点だ。「仕事以外で子どもを預けるなんて」という価値観がまだ根強い中、こうした配慮は画期的だと思う。

地域密着型イベントの価値を考える

7月下旬から8月にかけて札幌市東区で開催される夏祭りのラインナップを見ていて気づいたことがある。

  • 伏古本町サマーフェスティバル(7月19日・20日)
  • 元町夏のふれあい祭り(7月26日)
  • 美香保夏まつり(7月26日・27日)
  • 燃えれ!わが街(8月2日)
  • 苗穂連町夏祭り(8月2日)

これらはどれも小規模で、観光客向けというより完全に地域住民のためのイベントだ。私は昨年、苗穂連町夏祭りを取材したことがあるが、フラワーオークションで300円で花束が買えたり、地元商店街の手作り感満載の出店があったりと、決して華やかではないが温かみのある祭りだった。

こういうイベントが同じ地区で複数開催されるのは、地域コミュニティがしっかり機能している証拠だと私は考えている。人口約197万人の政令指定都市でありながら、まだこうした「町内会レベル」のつながりが生きているのは、札幌の大きな特徴だ。

文化イベントの格差を実感して

札幌芸術の森美術館で開催中の「小松美羽 祈り 宿る Sacred Nexus」展の音声ガイドをGLAYのTERUが担当していることを知って、正直びっくりした。小松美羽は現在アートマーケットで注目される現代アーティストの一人で、作品によっては数百万円の値がつくこともある。

一方で、北海道立近代美術館では「1945-2025 美術は何を記憶しているか」という重厚なテーマの展示が開催される。戦後80年を迎える2025年という節目を意識した企画だろう。

この2つの展示の温度差を見ていると、札幌の文化シーンの複雑さを感じる。商業的な成功を狙ったポップなイベントと、社会的メッセージ性の強い硬派な展示が同時期に開催されている。どちらも必要だが、果たして若い世代はどちらに足を向けるのだろうか。

天気と向き合う札幌の知恵

「雨のちくもり」「最高気温30℃」という7月16日の予報を見て思ったのは、札幌の人たちの天気に対する向き合い方の上手さだ。

雨が降れば地下街のイベントを楽しみ、晴れれば羊ヶ丘でラベンダーを刈る。当たり前のことかもしれないが、この切り替えの早さは、冬の厳しさを知っている札幌ならではの知恵だと思う。

私は関東出身だが、雨の日に「今日は外出をやめよう」と考えがちだ。でも札幌では雨の日でも楽しめる選択肢がこれだけ用意されている。これは単なる行政サービスではなく、この街で暮らす人たちの生活の知恵が形になったものなのだろう。

見えてきた札幌の「今」

取材を通して見えてきたのは、観光都市として成長する札幌と、地域コミュニティを大切にする札幌の二面性だ。ラベンダー刈り取り体験のような小さなイベントに、市民が家族で参加している光景は微笑ましい。一方で、初音ミクのアジアツアーのような世界規模のプロジェクトが札幌発で生まれていることも事実だ。

この街が抱える課題も見えてきた。子育て支援制度の充実度は高いが、利用のハードルがやや高い。文化イベントは多様だが、若い世代との距離感に課題がある。地域の祭りは活発だが、担い手の高齢化は進んでいるだろう。

でも、だからこそ札幌は面白い街だと私は思う。完璧ではないが、住む人のことを考えた街づくりをしようとする意志が随所に感じられる。7月16日の雨の日に、この街のことを少し深く知ることができて良かった。

この記事を読んで分かったことと考えるべきこと

札幌は観光都市と地域コミュニティの二面性を持つ街である

市民向けサービスは充実しているが、利用しやすさに改善の余地がある

天候に左右されない文化・コミュニティ活動の多様性が札幌の強み

地域の祭りや小規模イベントが、大都市でありながら人と人のつながりを維持している

今後は制度の充実度だけでなく、アクセスしやすさを重視した街づくりが求められる

(ルポライター・みく)

iPhone限定AIアプリの現状を正直にレビューします

この記事のまとめ

  • 結論:Grokは「雑談相手」としては優秀だが、仕事で使うには情報の正確性に懸念あり。
  • 長所:フランクで親しみやすい会話スタイル。AIチャット初心者におすすめ。
  • 短所:最新情報や専門的なデータが古い、または間違っていることがある。
  • 他AIとの違い:安定性のChatGPT、長文のClaudeに対し、Grokは「親しみやすさ」が最大の特徴。

佐々木優が語る「Grok」の可能性と現実のギャップ

こんにちは。IT企業を経営している佐々木優です。

今日は珍しく、プライベートな話から始めさせてください。先週末、大学時代の友人と久しぶりに会ったとき、「最近のAIアプリってどうなの?特にiPhoneで使えるやつ」って聞かれたんです。

「AIなら仕事で散々触ってるよ」と答えたものの、エンターテイメント系のAIアプリって実は全然知らなくて。ちょっと恥ずかしかったですね。それで帰宅後、App Storeでいろいろ探してみることにしました。

そこで出会ったのが「Grok」でした。イーロン・マスクが関わってるAIということは知っていたけれど、スマホアプリがあることは知りませんでした。

期待と現実のギャップが結構大きかった

正直に言うと、最初はかなり期待していました。「さすがイーロン・マスク、きっとすごいものを作ってるんだろう」って。

でも実際にダウンロードして使ってみると…うーん、思っていたのと違うというか。

まず、よく噂で聞いていた「3Dキャラクターとの対話」みたいな機能は見当たりませんでした。私が使っているiPhone 14 Proが古いのかと思って調べてみたんですが、そもそもそういう機能自体がないみたいで。

どこかで「コンパニオンモード」という名前を聞いたような気がしていたんですが、勘違いだったようです。人の記憶って曖昧ですね。

実際に使ってみた感想

それでも、せっかくダウンロードしたので一週間ほど使ってみました。

基本的にはテキストベースのチャットボットという感じで、ChatGPTやBardと似たような使用感です。ただ、回答の傾向が少し違うかな。もう少しフランクというか、砕けた感じの返答が多い印象でした。

私が試したのは主に以下のような用途:

  • 簡単な調べ物
  • ブレインストーミングの相手
  • 英語の文章チェック
  • 軽い雑談

良かった点

意外だったのは、雑談の相手としては結構良かったことです。仕事のストレスとか、今後の事業展開についてとか、なんとなく話し相手が欲しいときに使っていました。

「今日は会議が多くて疲れました」って入力すると、「お疲れ様です。会議続きは本当に大変ですよね。何か気分転換になることはありますか?」みたいな返答が返ってきて、なんとなく気持ちが楽になったり。

ChatGPTだともう少し事務的な感じがするんですが、Grokはもう少し親しみやすい感じがしました。これは個人の感覚なので、人によって違うかもしれませんが。

微妙だった点

一方で、情報の正確性については少し気になることがありました。特に最新の技術情報や市場データについて質問したとき、たまに古い情報や間違った情報が混じっていることがありました。

例えば、「2024年のAI市場規模」について聞いたときの回答が、明らかに2023年の古いデータを基にしているような感じでした。これは仕事で使うには少し不安ですね。

結局、どんな人におすすめ?

一週間使ってみた結論としては、「雑談相手としては良いけれど、仕事には使いにくい」という感じでした。

私みたいに普段からChatGPTやClaude、Bardなどを使い分けている人には、特に新鮮味はないかもしれません。でも、初めてAIチャットボットを使う人には良い入門編になるかも。

特に、以下のような人には向いているんじゃないかと思います:

  • AIチャットボット初心者
  • フランクな会話スタイルが好きな人
  • イーロン・マスクのファン(単純ですが、これも動機としてはありかと)

料金面での考慮

無料でも基本的な機能は使えるので、まずは試してみる分には良いと思います。有料プランもあるようですが、現時点で私は無料版で十分かなと。

月額制のサブスクリプションサービスって、気づいたら結構な金額になってることありませんか?私も定期的に見直しをするんですが、「これ、本当に使ってる?」ってサービスが結構あったりして。

Grokについても、しばらく無料版で様子を見てから判断するのが良いかもしれません。

他のAIサービスとの比較

せっかくなので、普段私が使っている他のAIサービスとも比較してみました。

ChatGPT(OpenAI)

やっぱり安定感はこれが一番です。特に技術的な質問や複雑な文章作成には頼りになります。ただ、少し堅い感じがするのが玉にキズ。

Claude(Anthropic)

私が最近よく使っているのがこれです。長文の処理が得意で、文章の推敲やレビューによく使っています。日本語の自然さも良い感じ。

Bard(Google)

Googleの検索と連携しているので、最新情報が必要なときに便利です。ただ、たまに的外れな回答をすることがあるのが気になります。

Grok

上記3つと比べると、まだ発展途上という印象です。ただ、親しみやすさという点では他にない特徴があるかも。

正直な感想と今後への期待

率直に言うと、現時点でのGrokは「特別すごい」というほどではありませんでした。でも、これは別に悪いことではないと思います。

私が初めてiPhoneを手にしたのは2008年の3Gでしたが、当時は「電話とメールとネットができる程度」でした。それが今では私たちの生活に欠かせないツールになっています。

AIも同じで、今はまだ発展途上ですが、数年後には私たちの想像を超える進化を遂げているかもしれません。

技術者として感じること

私の会社では、AI技術を活用したサービス開発も手がけています。その立場から見ると、現在のAI技術の進歩は本当に目覚ましいものがあります。

ただし、同時に限界も見えてきているのも事実です。特に、情報の正確性や、文脈の理解、そして何より「人間らしさ」という部分では、まだまだ改善の余地があります。

Grokについても、今後のアップデートで大きく改善される可能性があります。イーロン・マスクという人は、良くも悪くも「やりすぎる」傾向があるので、予想外の展開があるかもしれませんね。

まとめ:とりあえず試してみる価値はあり

長々と書きましたが、結論としては「とりあえず無料で試してみる分には損はない」という感じです。

私自身も、今後もしばらく使い続けてみようと思っています。特に、他のAIサービスとの使い分けという観点で、何か新しい発見があるかもしれません。

ただし、期待値は適度に抑えておいた方が良いかも。「革命的な体験」を期待すると、少しがっかりするかもしれません。

最後に個人的な想い

この記事を書きながら思ったのは、AIの進歩って本当に早いということです。2年前には考えられなかったことが、今では当たり前になっています。

私たちIT業界で働く人間は、常に新しい技術にキャッチアップしていく必要があります。時には失敗することもあるし、期待外れのこともある。でも、それも含めて技術の進歩に貢献できているのかなと思います。

Grokも、今はまだ発展途上かもしれませんが、将来的には私たちの仕事や生活を大きく変える存在になるかもしれません。そんな可能性を感じながら、今後も新しい技術に触れ続けていきたいと思います。


佐々木優
2024年7月15日 記

追記: この記事は私の個人的な体験と感想に基づいています。技術の進歩は日進月歩なので、読まれる時期によっては状況が変わっている可能性があります。また、使用感については個人差があることをご理解ください。

拝啓、未来ある若者たちへ。

…なんて、偉そうに始めてみたけど、正直に言うわね。今、この文章を書いているのは深夜の2時。サーバーがどうとか、クライアントの無理難題がどうとか、そういう日々の喧騒からやっと解放された時間。こんな時間に私が何を考えてるかというと、「あー、もう全部放り出して温泉にでも行きたい」ってこと。

笑えるでしょ?IT企業の社長なんて聞こえはいいけど、現実はこんなもん。キラキラした世界じゃない。泥臭くて、地味で、理不尽なことで腹が立つ毎日。君たちがこれから飛び込む世界も、たぶん、そんなに変わらない。

でもね、年に一回だけ、このどうしようもなく面倒なIT業界が、最高に愛おしく思える日があるの。それが『Cloud Operator Days Tokyo』、私たちがCODTって呼んでる、あのお祭りの日。

今日は、その話をさせて。教科書にも、会社の研修資料にも載ってない、私の本音の話。

「コミュニティ」って言葉が、昔は嫌いだった

いきなりごめんなさい。でも、本当なの。なんか馴れ合いみたいで、意識高い人たちの集まりみたいで、ちょっと苦手だった。私が若かった頃は、技術は一人で盗んで、磨くものだと思ってたから。

でも、会社を立ち上げて、一人じゃどうにもならない壁に何度もぶつかって…。そんな時、藁にもすがる思いで参加したのが、数年前のCODTだった。

会場に入って驚いた。スーツ姿なんてほとんどいない。みんな、普段着で、そこら中でPCを開いて何か作業してたり、知らない人同士で「あの件、結局どうなりました?」「いやー、それがダメで…」なんて、まるで昨日の続きみたいな会話をしてる。

登壇者も、流暢なプレゼンなんてしない。緊張で声が震えてたり、資料がうまく映らなかったり。でも、語られる言葉には、嘘がなかった。「この実装で3日徹夜しました」「上司を説得するのに半年かかりました」…そういう、生々しい体験談ばかり。

その時、ふっと力が抜けたの。「ああ、みんな同じなんだ」って。一人で戦ってる気になってたけど、日本中に、こんなにたくさんの仲間がいたんだって。私が嫌いだった「コミュニティ」は、馴れ合いの場所じゃなくて、傷だらけの戦士たちが束の間、鎧を脱いで傷を舐め合う、野戦病院みたいな場所だったのよ。

■データなんて、後からついてくるもの

よくイベントの価値を示すのに、参加者数とかセッション数の表が使われるでしょ。

年度私の勝手な印象
2022まだまだ身内感。でも熱気はヤバかった。
2023「あの人、Twitterで見たことある!」が増えてきた。
2024若い子がすごく増えた。休憩時間の雑談が一番面白い。
2025もう、お祭り。カオス。でも、それがいい。

ほら、こんな感じ。公式の統計データ(もちろん、そういうのも大事よ)より、私にとってはこっちの肌感覚の方がずっとリアル。数字じゃなくて、「熱」なのよ、あそこにあるのは。

OpenStack15周年?それがどうしたって話。

今年の目玉は「OpenStack15周年」らしいわね。正直、ピンとこないでしょ?「なんか昔流行ったやつ?」くらいの感覚かもしれない。

うちの会社でも、数年前にプライベートクラウドをOpenStackで組んだことがある。はっきり言って、地獄だったわ。ベンダーに丸投げできるような甘い世界じゃない。英語のドキュメントと格闘して、原因不明のエラーに頭を抱えて、夜中にデータセンターに駆け込んだことも一度や二度じゃない。

「なんでAWSじゃダメなんですか!」って、若いエンジニアに泣きつかれたこともあった。その通りよ。楽な道はいくらでもあった。でも、どうしても自分たちの手で、自分たちのインフラを完全にコントロールしたかった。あの時、もしOpenStackのコミュニティがなかったら、うちの会社は潰れてたかもしれない。

メーリングリストに拙い英語で質問を投げたら、会ったこともないブラジルのエンジニアが「それはたぶん、このパラメータが原因だぜ!」って返事をくれたり。国内の勉強会で「もう無理です…」って愚痴ったら、「うちもそこで3ヶ月ハマりましたよ」って笑いながら解決策を教えてくれる人がいたり。

だから、私にとってOpenStackは、ただの技術じゃない。あの時の苦しみと、助けてくれた人たちの顔がセットで思い出される、青春そのものみたいなものなの。15年続いた理由なんて、難しい理屈じゃない。そういう、人と人との繋がりがあったから。ただ、それだけなんだと思う。

失敗談こそ、最高の教科書

CODTで語られる事例って、本当にひどいのよ(笑)。

事例の記憶私の感想
中小企業の自動化改革「自動化したはずが、余計に仕事が増えた話」から始まった。最高。
AI予兆検知運用日立さんみたいな大企業が「AI、最初は全然言うこと聞いてくれませんでした」って正直に話すのがすごい。
OpenStack×エッジ「現場に設置したら、夏場の熱でサーバーが落ちた」みたいな話。他人事じゃない。
コミュニティ連携事例「引き継ぎ資料がなくて、退職した人に電話した」って話、うちもやったことある。

あるスタートアップの若い子が、「IaC(Infrastructure as Code)を導入して、何度もインフラを全部吹き飛ばしました」って、笑いながら話してたセッションが忘れられない。普通なら隠したいじゃない、そんな大失敗。でも、彼はそれを「一番の財産です」って言ったの。

失敗を隠さない。それを笑い飛ばして、みんなの教訓にする。なんて強いんだろうって、本気で感動した。キラキラした成功事例を100個聞くより、たった一つの、そういう生々しい失敗談の方が、よっぽど私たちの血肉になる。

他のイベントとの決定的な違い

誤解しないでほしいんだけど、AWS Summitとか、他の大きなイベントを否定する気は全くないの。最新情報をキャッチアップするために、私も参加するし、うちの社員にも行かせる。

でもね、家に帰るときの気持ちが、全然違うのよ。

大きなイベントの帰りは、「ああ、うちはまだまだだな」「あれもこれも勉強しなきゃ」って、少し焦る気持ちになることが多い。宿題をたくさん抱えて帰る感じ。

でも、CODTの帰りは、違う。なんていうか、飲み会で友達と語り明かした後のような、不思議な高揚感と安心感がある。「よし、明日からまた頑張るか!」って、自然に思える。

どっちが良いとか悪いとかじゃない。でも、もし君が今、仕事に少し疲れていたり、一人で悩んでいたりするなら、必要なのは新しい宿題じゃなくて、背中を叩いてくれる仲間なんじゃないかな。

私たちの仕事は、社会の「心臓」を動かしてる

毎日モニターを睨んで、キーボードを叩いて。ふと、「私、何のためにこんなことしてるんだっけ?」って思うこと、ない?

でもね、君が今見ているそのシステムは、どこかの会社の、誰かの生活を、確実に支えてる。自治体のサービスかもしれないし、病院の予約システムかもしれない。私たちが「運用」しているのは、社会の心臓なのよ。私たちが手を止めれば、社会のどこかで、誰かが必ず困る。

その責任は、ものすごく重い。でも、同じくらい、誇らしい仕事だと思わない?

CODTで話している人たちは、みんなそのことを知っている。自分の仕事が、ただの作業じゃなくて、社会に繋がっていることを、肌で感じている。だから、あんなに熱く語れるんだと思う。

最後に、生意気な先輩から一言

長々と、私の自分語りに付き合ってくれてありがとう。

別に、「絶対にCODTに参加しろ!」なんて言うつもりはないわ。オンラインで動画を見るだけでもいい。Twitterでハッシュタグを追うだけでもいい。

でも、もし。もし、君が今の仕事に少しでも息苦しさを感じていたり、自分の未来が見えなくて不安になったりしているなら。一度でいいから、あのカオスな空間を覗いてみてほしい。

何か劇的に変わる保証なんてない。明日から急に仕事ができるようになるわけでもない。でも、一つだけ約束する。

「悩んでいるのは、自分だけじゃなかったんだ」

そう思えることだけは、私が保証する。

それって、明日からもう一日だけ頑張るための、十分な理由になるんじゃないかしら。

会場のどこかで、疲れた顔でコーヒーを飲んでる女がいたら、それは私かもしれないわね。その時は、気軽に声をかけてよ。

じゃあ、またどこかの現場で。

佐々木 優

「札幌の金曜日」をあなたの写真で届けよう!参加型フォトギャラリー開始!

夕暮れの札幌の街を歩く人々の様子を捉えた写真。「札幌金曜を投稿しよう」の黄色い文字が中央に大きく表示されている。

こんにちは。札幌の週末情報をお届けしている当ブログから、新しい参加型企画のお知らせです。


■ 毎週金曜日、あなたの“札幌の1枚”を見せてください

街の空を見上げたとき、
駅のホームでふと立ち止まったとき、
通りすがりのポスターに足を止めたとき――

そんな「特別じゃないけど、ちょっと印象に残る札幌の金曜日」。
あなたの目線で撮った1枚を、ぜひ投稿してみませんか?


■ 投稿テーマは「札幌の金曜日に見つけた、何気ない瞬間」

この企画では、札幌市内または近郊で撮影した
金曜日限定の写真を募集しています。

写真のジャンルは自由です。

  • 天気や空模様
  • 街角や通勤風景
  • イベントの看板や開場前の様子
  • 駅や地下道の光景
  • 自分だけが見つけた面白い発見 など

「イベントに行ってなくてもいい」のがこの企画のポイント。
何気ない日常の札幌を、みんなで記録していきましょう。


■ 参加方法(とってもカンタンです)

📷 投稿方法は、以下の3ステップ!

  1. 金曜日の札幌で撮影した写真を1枚選ぶ
  2. X(旧Twitter)に投稿
  3. ハッシュタグ「#今日の札幌金曜」をつけるだけ!

💡 コメントも短くてOK!
「夕方の空がきれいでした」くらいの一言でも大丈夫です。


■ 毎週1名を「今週の1枚」としてご紹介!

投稿いただいた写真の中から、
毎週1枚だけ、選ばれた写真を
当ブログの記事内や音声番組で紹介します!

また、選ばれた写真は記事のアイキャッチ画像やカバーにも採用される可能性があります。

あなたの1枚が、多くの人の目にふれるきっかけになるかもしれません。


■ こんな方におすすめ!

✅ スマホでちょっと写真を撮るのが好きな方
✅ イベントには行かないけど札幌の街が好きな方
✅ SNSで発信したいけどネタに悩んでいる方
✅ 週末に“何か1つ記録したい”方


■ なぜこの企画を始めるのか?

札幌の週末は、にぎやかなイベントやライブだけじゃありません。
小さな風景、静かな時間、人の気配――それらもまた、かけがえのない“札幌の金曜日”です。

この企画は、そうした日常の断片を
読者みんなで集めて、札幌という街の“今”を共有する試みです。

イベントに参加する人も、そうじゃない人も。
プロカメラマンも、スマホユーザーも。
誰もが参加できる、やさしい札幌のアーカイブ。
一緒につくっていきませんか?


■ 応募にあたっての注意点

  • 投稿画像は、公開アカウントから投稿されたもののみ対象とさせていただきます。
  • 採用された方には、XでDMをお送りする場合があります。
  • 投稿写真は、当サイトや音声番組、SNSなどで紹介・二次利用させていただく場合があります(著作権は投稿者に帰属します)。

📮まとめ:まずは気軽に1枚から!

ちょっとした風景も、
「#今日の札幌金曜」をつけて投稿するだけ。

「札幌の金曜日って、こんなに豊かなんだ」
そんな声が生まれる場を、みんなで作れたら嬉しいです。

あなたの“今週の1枚”、お待ちしています!


📢 投稿用ハッシュタグ:#今日の札幌金曜
📆 対象日:毎週金曜日に札幌で撮影された写真

#今日の札幌金曜 #札幌フォト #札幌日常 #札幌街歩き #金曜の風景 #スマホ写真 #参加型企画

【7月2日】新事務所の撮影会で起きた珍事件簿

6月30日 担当 みゆき

~中古マンションの一室で繰り広げられた、OLたちの本音と建前~

みく(25歳・経理担当)のメンバー日記

今日は会社の新事務所(って言っても中古マンションの一室なんだけど)での撮影会でした。

何の撮影か?って??

私達、リミブレイクのLPに載せるスタッフ紹介ページに載せる写真なんです。

正直、最初は「またー?」って思ってたんですが、予想を遥かに超える一日になってしまって…。今のうちに記録しておかないと、絶対に忘れちゃいそうなので日記に残しておきます。

朝9時:集合時間なのに誰も来ない現実

汗をかきながら驚いた表情を見せるメガネの少女。背景は日差しの差し込む室内。
クーラーのない部屋で暑さに耐える少女の姿。夏の厳しい暑さを感じさせる一枚です。AIが描いたイメージです。

約束の時間は9時だったのに、実際にメンバーが揃ったのは9時半過ぎ。これってうちの会社あるあるですよね。みんな「ちょっと遅れます」のLINEを送ってくるんだけど、結局全員遅刻という。

新事務所は築25年のマンションの3階。エレベーターはあるけど、なんか微妙に狭くて、みんなで荷物持って上がるの大変でした。部屋に入った瞬間の感想は「うーん、思ったより狭い」。でも、大きな窓があって光は入るし、まあ悪くないかな。

先輩の社員食堂のシェフ(27歳)が「ここで10人も撮影するの?」って言ってたけど、私も同じこと思った。物理的に厳しくない?

10時:メイク戦争勃発

パウダールーム(って言ってもただの洗面所)に10人が殺到。案の定、鏡の取り合いが始まりました。結さん(26歳)が「私、朝からメイクしてきたから大丈夫です」って言ってたけど、結局みんなと同じように鏡の前で化粧直ししてる。女子って正直だなあ。

さゆりが持参したメイクボックスがプロ級で、みんなから「すごーい」の嵐。私なんてドラッグストアのアイシャドウパレット一個だけ。格差を感じる瞬間です。

洗面所で聞こえてきた会話: 「昨日の合コンの話、どうなったの?」 「あー、あの人?連絡来てないから脈なしかも」 「でも写真は盛れてたよね」

朝からこのテンション。今日一日が思いやられる…。

ここで予想外の真実が発覚!!

鏡に殺到したのは「本当は誰も化粧していなかった

11時:衣装選びという名の品定め大会

みんな「普段より少しだけおしゃれ」な服装で来てるはずなのに、なぜか更衣室(元々の寝室)で着替え大会が始まりました。麻紀なんて、スーツケース一個分の衣装を持参。「迷っちゃって」って言ってるけど、明らかに気合入りすぎでしょ。

仕事以外はトレーナーにジーパンが多い麻紀)

私は無難に白いブラウスとネイビーのタイトスカートにしたんだけど、みゆきに「みくちゃん、それ地味すぎない?」って言われてちょっとムッとした。でも確かに、他のみんなと比べると保守的かも。

かずみの花柄ワンピースは本当に可愛くて、思わず「どこのブランドですか?」って聞いちゃった。「ZARA」って答えてくれたけど、私が着ても絶対似合わないやつ。体型の差って残酷。

花柄のワンピースを着た金髪の少女がオフィスで笑顔を見せている。
明るいオフィスで笑顔を見せる花柄ワンピースの少女。親しみやすく爽やかな印象を与えるシーンです。AIが描いたイメージです。

12時:カメラマンの微妙な反応

眼鏡をかけた講師風の男性キャラクターがカメラの前で収録テストを行っている様子。マイクやPCも見える。
動画収録のテストを行う講師風キャラクター。マイクとカメラを使った配信環境が整っています。AIが描いたイメージです。

撮影を任されたやすさん、最初はプロフェッショナルな感じだったんだけど、だんだん表情が曇ってきました。理由は明らか。狭い部屋に10人の女性が入ると、物理的に撮影が難しいんです。

「えーっと、もう少し後ろに下がっていただけますか」 「そちらの方、少し左に…あ、でも壁があるので無理ですね」

やすさんの困った顔を見てると、なんだか申し訳なくなってきました。でも、これって事前に分かってたことじゃない?なんで会社は下見しなかったんだろう。

12時30分:事件発生

休憩時間に麻紀がコーヒーを飲もうとして、手が滑って隣にいた夢子の白いシャツにぶちまけてしまいました。

「きゃー!」「大変!」「誰かタオル!」

みんなで大騒ぎ。でも正直、私はちょっとホッとした部分もありました。だって、緊張してた空気が一気に和んだから。夢子も最初は「えー」って顔してたけど、みんなが必死に対処してくれるのを見て笑ってました。

「まあ、こういうこともあるよね」

この一言で、現場の空気が完全に変わりました。

13時:カオス撮影の始まり

濡れたシャツ事件をきっかけに、なぜか「完璧な撮影」から「面白い撮影」にコンセプトが変更。誰が決めたわけでもないのに、自然とそうなってました。

リビングにあった観葉植物(前の住人が置いていったやつ)を使って「オフィスジャングル」なるものを作成。みんなで植物の葉っぱを持ってポーズ。客観的に見ると完全におかしいんだけど、その時は楽しくて仕方なかった。

ゆり先輩が「私たち、何してるんだろうね」って笑いながら言ってたのが印象的。でも、誰も止めようとしない。むしろエスカレートしていく一方。

14時:椅子積み上げ事件

スーツ姿の女性が、複数の椅子が崩れ落ちる場面に驚いているアニメ風イラスト。
突然椅子が崩れ落ち、驚きの表情を浮かべる女性の姿。アクシデントの一瞬を切り取った印象的なシーンです。AIが描いたイメージです。

狭い部屋で「高さ」を出すために、折りたたみ椅子を3段重ねにして撮影することになりました。今思えば、明らかに危険だったんですが、その時は誰も冷静じゃなかった。

案の定、椅子が崩れて結ちゃんが床に座り込む形に。幸い怪我はなかったけど、スカートがめくれ上がって…。田中さんが慌てて目を逸らしてたのが印象的でした。

「大丈夫?」「怪我してない?」

みんなでユイちゃんを心配したんだけど、本人は「恥ずかしい」って顔を真っ赤にしてました。可愛いなあ、22歳。私もあの頃はもう少し可愛らしい反応してたのかな。

15時:社長登場でヒヤッと瞬間

一番盛り上がってる時に、なぜか社長が突然現れました。事前連絡なし。みんな一瞬フリーズ。

「楽しそうですね」

腕を組んで怒った表情を浮かべる眼鏡の女子学生。背景には家庭的なリビングが広がる。
家庭的なリビングで怒った表情を見せる女子学生。表情と雰囲気が印象的な日常の一コマです。AIが描いたイメージです。

「やばい!!」

全員が凍り付いた…

社長は穏やかな口調だが目が怒っている💦

「皆、今日はリミブレイクのプロフ用の写真撮影でしょ?それが、なぜ…私服なのかしら?」

「それは…」

一同は下を向いてしまった。

「それにね、すっぴんで職場に来るとは何事なの?それとも…」

社長がにやりと笑った。

腕を組んで自信満々に笑う眼鏡の女子学生。背景には家庭的なリビングが広がる。
余裕の笑みを浮かべる女子学生。家庭的なリビングを背景に、彼女の強い個性と自信が際立っています。AIが描いたイメージです。

「げっ!!!」

社長は「今日からリミブレイクは「下着販売メーカー」に変えようかしら?」

それから鋭い目で

「全員下着で撮影しなさい!!]

「ご、ごめんなさい!!」

「申し訳ありませんでした」でしょう?

「は、はい!!」

私たちは全員、ものすごいスピードでロッカーにしまってあった、オフィスレディの制服に着替えた。

16時:撮影終了、そして反省会

なんだかんだで撮影終了。みんなでお疲れ様のお茶タイム。狭い部屋だから、コンビニで買ったペットボトルのお茶を床に座って飲む感じ。なんか学生みたい。

「今日って何の撮影だったっけ?」ってさゆりさんが言い出して、みんなで爆笑。確かに、最初の目的を完全に見失ってた。

結先輩が「でも、たまにはこういうのも良いよね」って言ってくれて、なんとなくみんなも納得した雰囲気。私も楽しかったのは事実だし。

17時:帰り道での本音

ゆり先輩と一緒に駅まで歩いてる時に、ぽろっと本音が出ました。

「正直、ちょっと疲れた」 「わかる。でも、みんなで騒げて楽しかったよね」 「うん。ただ、やすさんの視線がちょっと…」 「あー、気になった。でも悪い人ではないと思うけど」

そうなんです。全体的には楽しかったけど、微妙にモヤモヤする部分もあった。特にやすさんの反応とか、写真をどう使うのかとか。そういえば、結さんの婚約者の龍二君。終始無言だったな。私達を見て何も感じないのかな?

夜:家で冷静になって思うこと

シャワーを浴びて、一人になってから今日のことを振り返ってみました。楽しかったのは間違いないけど、「これって本当に会社の広報写真として適切だったのかな?」という疑問も湧いてきます。

SNSで「映える」写真を撮ることが重視される時代だから、こういう企画になったんだと思うけど、私たちって「商品」扱いされてない?そう考えると、ちょっと複雑な気持ちになります。ゆりさんの「イメージガールは「見せてなんぼ。芸は売っても身は売るな」」の言葉が頭に浮かんだ。

そうだ、私も一時はゆりさんにあこがれて、イメージガールを目指してここに来た。あの頃から、私のあこがれはゆりさんだった。だから、今回の撮影も「商品扱い」ではないはずだ。もし、そうならゆりさんが黙ってはいないだろう。

「これでいいんだよね…」

でも、普段は事務作業ばかりで、みんなでワイワイする機会って意外と少ないから、そういう意味では良い機会だったかも。麻紀ちゃんなんて、普段はおとなしいのに今日は積極的だったし。

明日からの心配事

明日会社に行って、今日の写真を見せられるのがちょっと心配。やすさんがどんな写真を選んで、どう加工するのか。私たちの「素」の部分まで写っちゃってるかもしれないし。

それと、他の部署の人たちにどう説明すれば良いのかも悩みどころ。「撮影会楽しかった」って言うのは簡単だけど、実際は結構カオスだったし。

結論:複雑だけど、嫌いじゃない

今日一日を通して感じたのは、会社のイベントって「建前」と「本音」のバランスが難しいなということ。最初は「きちんとした広報写真を撮りましょう」っていう建前だったのに、気がついたら本音の部分が全面に出てしまった。

でも、それが必ずしも悪いことだとは思いません。普段見えない同僚の一面を知ることができたし、チームワークも深まった気がします。ただ、境界線は大切だなとも思いました。

明日、会社でみんなとどんな話をするのか、今から楽しみです。きっと「昨日は大変だったね」って笑い話になるんだろうな。

そして、次回もし同じような企画があったら?正直、微妙なところです。楽しかったけど、もう少し計画的にやりたいかも。

追記: 結先輩からLINEで「お疲れさまでした!楽しかったです」って送られてきました。みんな同じ気持ちなのかな。明日が楽しみです。


【6月30日】ゴキブリには勝てなかった…空手有段者みゆきの涙のオフィス事件簿

ルポライター・みゆき(21)
空手歴15年(全日本空手道連盟二段)・元レースクイーン・スイーツルポライター


「華麗な空手の技でゴキブリをやっつけてよ!」なんて期待された私が、まさかの号泣逃走劇を繰り広げることになるとは。オフィスを戦場と化した”黒い悪魔”との死闘(?)を、恥を忍んで赤裸々レポート。空手の技術的限界と害虫駆除の現実も交えて解説する。

この記事を読んでわかること

  • 空手の技術体系が昆虫に対して物理的に無効である理由
  • オフィス環境でのゴキブリ発生要因と現実的な対策
  • 実際に使用した害虫駆除グッズの効果比較
  • 恐怖反応との向き合い方と専門知識の重要性

第1幕:平和なオフィスに現れた”黒い刺客”

時刻は朝8時45分。コーヒーの湯気が立ち上る静寂のオフィスで、私は今日のスケジュールを確認していた。

「今日も平和だなあ」

そんな呑気なことを考えていた、その時だった。

カサ…カサカサ…

「?」

足元から聞こえる妙な音に首をかしげる私。まさかとは思ったが、恐る恐る机の下を覗き込むと―

ヌルッ

現れたのは体長約3センチ、光沢のある黒い甲殻に身を包んだゴキブリだった。見た目からしてチャバネゴキブリ(Blattella germanica)のようだ。

にっこり笑顔でほっぺが赤い、かわいくデフォルメされたゴキブリのイラスト
ゴキブリがかわいくデフォルメされたイラスト。子ども向け教材やキャラクターとしても使いやすいデザインです。AIが描いたイメージです
きゃあああああああああ!!!!

我ながら見事な絶叫が響き渡る。椅子から立ち上がった勢いで、コーヒーカップが宙に舞った。

第2幕:空手有段者、まさかの敗走劇

「みゆきちゃん、どうしたの?」

同僚のmikuが駆け寄ってくる。

「ゴ、ゴキブリが…」

指差す私の手は震えていた。

「え?ゴキブリ?みゆきちゃん空手やってるじゃん、やっつけてよ!」

眼鏡をかけた銀髪のアニメ風キャラクターが、汗をかきながらも笑顔で立っている様子。
運動後でも笑顔を忘れない元気なキャラクターのイラスト。汗とタオルが努力を物語っています。AIが描いたイメージです。

ここで冷静に解説しよう。

空手の技術体系は主に「立ち技」で構成されており、対象の想定身長は150-180cm程度の人間である。基本的な攻撃技である「正拳突き」の射程距離は約30cmで、床面から5cm程度の位置を素早く移動する体長3cmの昆虫には、物理的にリーチが合わない。

さらに、空手の「間合い」概念は相手との距離が1-2メートルを前提としているため、足元の微小な動きに対する反応は想定されていないのだ。

つまり、どれだけ空手を極めても、ゴキブリ相手では「技術的にお手上げ」というのが現実なのである。
「無理無理無理!絶対無理!」

私は廊下に向かって全力疾走した。後ろからmikuの「おーい!」という声が聞こえたが、振り返る余裕はない。

青いレースクイーン風コスチュームを着て汗をかきながら驚いた表情を見せるメガネの女性キャラクターのイラスト
汗をかきながら驚いた表情のレースクイーン風キャラクター。臨場感あふれるイラストです。AIが描いたイメージです

第3幕:オフィス全体を巻き込む大騒動

給湯室に避難した私のもとに、続々と同僚たちが集まってきた。

「何があったの?」 「ゴキブリが出たって?」 「どこに?」

ここで興味深い現象が起きた。技術のやすさん(61歳・男性)は「俺も虫ダメ!」と即座に私の隣に避難。ゆりさん(31歳・女性)は「任せとけ」とばかりに意気込んでいたが、実際に現場を見ると「うわあ、でかい…」と後ずさりした。

一般的に、ゴキブリに対する嫌悪反応は生物学的に正常な反応とされている。不衛生な環境に生息し、病原体を媒介する可能性のある昆虫を本能的に忌避することで、感染リスクを回避する適応的行動だと考えられているからだ。

かずみ(20歳・女性)だけが勇敢にも立ち向かおうとしたが、ゴキブリは非常に素早く机の隙間に消えてしまった。チャバネゴキブリは秒速約1メートル以上で移動できるため、人間の反応速度では捕捉が困難なのだ。

「見失った!」

「えええええ!どこに行ったの!?」

オフィスが一瞬で戦場と化した。みんなで足をばたつかせながら机の周りをうろうろする様子は、まさにコメディ映画のワンシーンだった。

第4幕:涙の告白タイムと心理的考察

結局、ゴキブリは行方不明のまま。私は給湯室で膝を抱えて座り込んでいた。

「みゆきちゃん、大丈夫?」

mikuが心配そうに声をかけてくれる。

「空手やってるのに…情けない…」

ポロポロと涙がこぼれた。15年間積み重ねてきた鍛錬が、たった一匹の虫に完敗したという事実が悔しくて仕方なかった。

青と白のレースクイーン風コスチュームを着て困った表情を見せるメガネの女性キャラクターのイラスト
困った表情を浮かべたレースクイーン風キャラクターのイラスト。ストーリー性を感じる一枚です。AIが描いたイメージです
心理学の研究では、特定対象への恐怖反応は論理的思考よりも本能的反応が優位になるため、理性的なコントロールが困難になることが知られている。つまり、空手で培った精神力も、生物学的な恐怖反応の前では限界があるということだ。

「でも仕方ないよ。虫と空手は別物でしょ」

ゆりさんが慰めてくれたが、その時だった。

「ギャアアアア!」

夢子の絶叫が響く。例のゴキブリが今度はコピー機の下から現れたのだ。

「第2ラウンド開始!」

なぜか実況するかずみ。私たちは再び大騒ぎになった。

第5幕:プロの技術登場

最終的に、さゆりが颯爽と登場。

「こんなもん、慣れっこですよ」

さゆりが使用したのは、ピレスロイド系の殺虫剤だった。ゴキブリの神経系に作用し、効果的に駆除できる仕組みになっている。

あっという間にゴキブリを退治してくれた。プロの技に一同感嘆。

「やっぱり餅は餅屋ね」

ゆりさんの一言に、みんなで大笑いした。

番外編:現実的な対策会議

事件後、なぜかオフィスで「ゴキブリ対策会議」が開催された。今度は私が調べた知識を活かして、現実的な対策を提案することにした。

議題:今後のゴキブリ対応について

購入・検証した対策グッズ比較

商品名主成分価格設置後の効果使用感
ブラックキャップフィプロニル0.05%1,580円2週間で目撃ゼロ設置するだけで簡単
ゴキジェットプロイミプロトリン880円即効性あり匂いが強い
ゴキブリホイホイ強力粘着剤680円月2-3匹捕獲捕獲確認できて安心

ブラックキャップの仕組み 主成分のフィプロニルは、昆虫の神経伝達を阻害する殺虫成分。摂取したゴキブリが巣に戻ってから効果を発揮し、他の個体にも影響を与える「連鎖効果」が期待できるとされている。

実際に使用してみた結果、設置から2週間ほどでゴキブリの目撃情報がなくなった。価格は高めだが、効果を考えれば妥当だと感じた。

オフィス環境でのゴキブリ対策

一般的に、オフィスビルでのゴキブリ発生要因は以下が挙げられる:

給湯室・休憩室の食品残渣 – 最も重要な要因

暖房設備周辺の温度環境 – 越冬場所として好まれる

配管・ダクト経由の侵入 – 建物の構造的問題

段ボール等の搬入物 – 外部からの持ち込み

私たちのオフィスでは、特に給湯室の清掃を徹底し、食べ残しをすぐに片付けるよう心がけた。また、暖房機器周辺にもブラックキャップを設置した。

第6幕:学んだことと今後の展望

恐怖反応の正体

ゴキブリに対する恐怖は、決して恥ずかしいことではない。むしろ、人間が長い進化の過程で獲得してきた「生存本能」の現れだと考えられている。

不衛生な環境に生息し、サルモネラ菌や大腸菌などを媒介する可能性のある昆虫を避けることは、感染症予防の観点からも合理的な行動なのだ。

専門知識の重要性

今回の事件をきっかけに、害虫駆除について本格的に勉強した。その結果分かったのは、感情的な対応よりも科学的な知識に基づいた対策の方がはるかに効果的だということだった。

例えば、ゴキブリは夜行性で暗い場所を好むため、日中は机の隙間や電気機器の裏などに潜んでいる。また、温度20-30度、湿度60-80%の環境を好むため、除湿と清掃が予防の基本となる。

エピローグ:強さの再定義

あの事件から半日。私はまだゴキブリが得意ではないが、以前ほどパニックにはならなくなった。⇐順応性あり

重要なのは「完璧に恐怖を克服すること」ではなく、「適切な知識と対策を身につけること」だったのだ。空手で培った集中力を、今度は害虫対策の勉強に向けた結果、オフィスの害虫対策責任者も任されるようになった。

研究によると、恐怖対象に関する正確な知識の獲得は不安反応の軽減に効果があるとされている。実際、ゴキブリの生態や効果的な駆除方法を学ぶことで、心理的な負担は大幅に軽減された。

この記事を読んで分かったことと考えるべきこと

空手の技術は物理的に昆虫駆除に適用できない明確な理由がある

ゴキブリ恐怖症は生物学的に正常な適応反応である

科学的根拠に基づく予防策が感情的対応より効果的

専門知識の習得により恐怖反応は軽減可能

プロの技術と適切な薬剤使用が最も確実な解決策

あとがき:体験から学んだ教訓

「空手有段者がゴキブリに泣かされた」なんて、漫画みたいな話だと思われるかもしれない。でも、これは紛れもない実話だ。

今回の事件を受けて、私はオフィスの害虫対策責任者として、予防と早期発見に努めている。恐怖を知識で補完した経験は、ルポライターとしての取材力向上にもつながった。

空手二段の技術と害虫対策の実践的知識を併せ持つライターとして、これからも現場に根ざした記事を書き続けたい。

P.S.
この記事を読んでくださった皆さん、もしオフィスや家庭でゴキブリと遭遇したら、まずは冷静になって適切な対策を講じることをお勧めします。恐怖反応は自然なものですが、正しい知識があれば必ず対処できます。

恥ずかしがらずに、プロの力を借りることも立派な解決策の一つです。私たちは完璧である必要はないのですから。

担当:みゆき

【6月29日】事務所の洗濯機が壊れた日 部長の洗濯板騒動と修理か買い替えかの判断

水曜日の朝、いつものように出社したら、事務所の洗濯機が動かない。リミブレイク事務所で働く私、さゆりの一日は、こんな小さなトラブルから始まりました。

そして部長が取った行動が、まさかの洗濯板。令和の時代に、50代男性が若い女性スタッフの前で下着を手洗いする光景は、正直引きました。

この記事を読んでわかる事

  • 実際の洗濯機故障時の対処と判断プロセス
  • 修理と買い替えの現実的な費用比較
  • 事務所での家電トラブル対応の実態

朝一番の洗濯機が止まって、部長が暴走した

リミブレイク事務所の洗濯機はHaier JW-KD55B。2017年に買ったから、もう8年近く使ってる計算になります。

朝9時頃、いつものように制服を洗おうとスイッチを入れたんですが、途中で止まっちゃって。操作パネルは光ってるし、エラーも出てないんです。でも、すすぎの段階でタイマーが止まったまま動かない。

「洗濯機壊れました」って部長に報告したら、なんと押し入れから洗濯板を取り出してきたんです。「昔はこれが当たり前だった」とか言いながら、自分の下着をゴシゴシ洗い始める始末。

若い女性ばかりの事務所で、これはさすがにマズいでしょう。私、本気で怒りました。「部長、それちょっと…」って言ったら、「効率的だ」とか得意げに言うんです。1枚洗うのに30分もかけて、どこが効率的なんでしょうか。

とりあえず故障の原因を調べてみた

感情的になってても仕方ないので、まずは冷静に状況確認です。前の職場で家電売り場にいた経験があるので、基本的なチェックはできます。

電源周りは問題なし。フタのロック機能も正常。排水ホースも詰まってない。でも、脱水の時に変な音がしてるんです。「ジー」っていう、いつもと違う音。

これ、多分排水ポンプか制御基板のトラブルですね。7年以上使った洗濯機によくある症状です。

修理費用を調べたら、予想以上に高かった

近所の修理屋さんに電話で聞いてみました。

排水ポンプの交換だと、部品代と工賃込みで1万円から1万2千円くらい。制御基板なら1万5千円近くかかるそうです。

同じ型の新品がネットで2万4千円くらいで買えることを考えると、修理費用が結構な割合になっちゃいます。しかも、一箇所直しても他が壊れる可能性もあるし。

買い替えを真剣に検討してみた

事務所で使う洗濯機なら、そんなに高機能は要らないかなと思って調べてみました。

メーカー型番容量価格特徴
HaierJW-U55A5.5kg約24,000円シンプル機能
PanasonicNA-F50B155.0kg約30,000円静音・省エネ
SHARPES-GE5E5.5kg約32,000円槽洗浄機能付き

※価格は大手家電量販店での調査(2024年末時点)

正直、修理に1万円以上かけるなら、あと1万円足して新品買った方がいいんじゃないかって思いました。保証もあるし、省エネ性能も上がってるし。

部長の洗濯板作戦は大失敗

私が調べ物をしている間も、部長の手洗いは続いてました。でも、明らかに非効率すぎる。1枚のシャツに30分って、どう考えてもおかしいでしょう。

「部長、その時間で他の仕事どれだけできると思ってるんですか」って言ったら、ようやく現実に気づいたみたいです。

若い女性スタッフたちの視線も痛かったんでしょうね。結局、「すぐに新しいの買おう」って折れました。洗濯板作戦、完全に失敗です。

部長の洗濯板チャレンジ、30分で現実に敗北した模様👔💦

実際に新品を購入した結果

結局、パナソニックのNA-F50B15を購入しました。価格は29,800円。

決め手は静音性ですね。事務所だとお客さんもいらっしゃるので、音が小さいのは重要でした。あと、省エネ機能も魅力的でした。

古い洗濯機の処分費用が3,000円かかりましたが、それでも修理するより安心感があります。

今回の教訓と反省点

まず、メンテナンス不足でした。定期的な槽洗浄とか、排水ホースの掃除とか、もっとちゃんとやっておけばよかったです。

あと、使用年数をちゃんと把握しておくことの大切さも実感しました。8年近く使ってたなら、もっと早く買い替えを検討すべきでした。

それと、職場での適切な判断プロセスの重要性。部長の洗濯板みたいな場当たり的な対応じゃダメですよね。

結論として学んだこと

洗濯機の故障は突然やってきますが、使用年数と修理費用を冷静に比較すれば、適切な判断はできます。

今回のケースでは、8年使用・修理費1万円以上・新品3万円という条件で、買い替えが正解でした。

ただ、一番の教訓は日頃のメンテナンスの大切さですね。完全に故障を防ぐのは難しくても、寿命は延ばせたはずです。

部長の洗濯板騒動は笑い話になりましたが、職場でのトラブル対応って、意外と難しいものだと改めて思いました。

この記事を読んで分かったことと考えるべきこと

  • 家電の故障時は感情的にならず、冷静な費用対効果の判断が重要
  • 使用年数7年以上、修理費が新品価格の3分の1を超えたら買い替え検討
  • 日常的なメンテナンスが故障予防と寿命延長に効果的
  • 職場でのトラブル対応には適切な判断プロセスが必要
  • 古い対処法(洗濯板)に頼るより、現代的な解決策を選ぶべき

※記事内の価格や修理費用は実体験に基づく概算です。地域や業者によって異なる場合があります。